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フリースクールで学ぶ、フリースクールで育つ
木村砂織(東京シューレ・スタッフ) |
NPO法人東京シューレは、東京都内に北区、大田区、新宿区の3ヶ所、千葉県流山市に1ヶ所あるフリースクールで、6歳から20歳の子ども、若者達が通い、活動している。
1985年に開設し、今年で21年目を迎え、ここで育った子達は1000人を超えている。おもには不登校の子どもたちが通ってきている。
不登校というのは今でも偏見をもたれている。本人の怠け、弱さからくるもの、親子関係のひずみから起こっていること、など否定的なイメージが非常に強い。また学校に行っていない本人自身が、何より自分のことを、「ダメな人間だ」「自分はバカで生きる価値のない人間だ」と思い、自己肯定できず、もがき苦しんでいることが多い。また親も育て方の問題を指摘されたりする中で、「自分の育て方がまちがっていたのだろうか」と思い悩むこともたくさんある。
不安な気持ちを抱えて、子どもがシューレに来て、当初はとても緊張していたのが、通ってくるうちに徐々になれ、おだやかな表情になってくるのをみると、こちらもほっとする。
日本はまだまだ学歴社会、学校信仰が強く、「学校に行かない、行けない」=「社会にでられない」という考えがかなりある。
学校でどんなに教師からの体罰がひどくても、激しいいじめにあっていても、子ども達は「学校に行かない」という判断をせず、結局自ら死を選ぶ、という最も悲劇的な選択をする人も多い。
学校がその人自身の成長の場、学びの場、友だち作りの場となっている人はそれでいいのだろう。学校生活を大いに満喫していけばいいと思う。
ただ学校がそういう場にならない人にとって、「学校へ行くべき」という考えはその子の意思を全く無視した単なる押し付けである。
子どもの権利条約でもうたっている、子どもの最善の利益とはなんなのか、ということを大人はきちんと考えていかなければならない。
東京シューレでは、シューレで何をするか、ということはすべて子ども達自身で決めていく。毎週1回ミーティングがあり、こういう授業があったほうがいい、とか、今度合宿をしよう、漫画家の人から話を聞きたい、などいろんなやりたい事を出し合い、それをやるにはどういうことが必要か、大切かということを話し合っていく。
誰かに命令されてやらされるということはなく、自分のことは自分で決めていく、ということが大事なところである。
既存のものにあわせていくのではなく、自分達でつくっていく、というところがフリースクールの醍醐味ではないだろうか?
教科学習、キャンプ、登山、音楽鑑賞、ものづくりなど、フリースクールではさまざまな学び、活動が展開されているが、一般の学校に比べてあまりにも低く見られている現状を何とか変えたいと思っている。
子どもが育つ場は、学校だけではない。ホームエデュケーションという考え方で、家を中心に育っていくやり方もある。フリースクールというところで、自分に合った環境で学んでいく、ということがもっと認められるべきではないか。
今は、フリースクールを選んだ人にとっては、経済的にも社会的にも不利な状況に立たされることは現実にある。それはフリースクールを選んだ子達が悪いのではなくて、フリースクールをひとつの教育機関としてきちんと認めない日本の問題であると思っている。
来年の4月に私たちは「新しい学校」をつくる予定である。
東京都葛飾区にある、廃校を借用して中学校を設立することになる。4年近くみんなで準備していて、ようやくその夢が現実味を帯びてきた。シューレに通っている女の子がこんなことを言っていた。「私は不登校になって、不安がいっぱいのときに東京シューレと出会い、学びたいと思ったら、いろんなことを学ぶことができ、友人もできてよかった。でも自分達だけよかった、というのではダメだと思う。今まさに不登校で苦しんでいて、こんな自分なんていなくなったほうがいい、と思っている子達のことを考えることが必要ではないか。そのためにもこの学校づくり、ということは大事だし、多くの人に知ってほしい」と話していた。
他の不登校の子ども達のことにも思いをはせる、ということに私はたいへん感動した。
「フリースクールがなぜ学校を作るの?」と疑問にもたれる方もいるかもしれないが、フリースクールだからこそ、不登校を体験した子ども達だからこそ、こういう学校があったらいいね、ということを形にできるのではないかと思っている。
もちろん今までどおり、学校開校後もフリースクールの活動も並行して行っていく。
子ども達の学び、成長する場の選択肢は多ければ多いほどいい。
一度しかない人生、自分の納得できる環境で、納得できる学びを思う存分やっていく。そのとき、フリースクールで学ぶ、育つ、ということを選んだことに対して、社会がもっと価値を見出してほしい。そういう視点が今後もっとも重要なことだと考えている。
きむら・さおり/1966年生まれ。東京シューレには1987年からボランティアとして参加。現在大田区にある東京シューレ大田に勤務。
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