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外国人労働者は日本に必要です
――日本経団連提言

井上洋

社団法人 日本経済団体連合会(日本経団連)は、2003年1月に『活力と魅力溢れる日本をめざして』という新ビジョンを公表しました。そこでは、「多様性のダイナミズム」を活かした社会づくりを提案したのですが、その観点からすると、外国人を日本社会でどのように受け入れ、いかにしてその能力を発揮してもらうかが課題となります。そこで、外国人の受け入れ問題について、さらに詳細な検討を行い、2004年の4月に提言をとりまとめました。

日本はこれまで均質的な社会を形成することにより、大量生産、大量消費社会をつくりあげ発展してきました。しかし、今日、グローバル化が急速に進展する中で、日本全体の付加価値創造力を高め、世界中の様々なニーズに対応できる製品・サービスを提供しなければ、競争に勝てない状況が生じつつあります。その観点から、外国人を積極的に受け入れることが肝要なのです。

日本人と外国人が相互に「共感と信頼」で結ばれ、「多文化共生社会」を構築することは、外国からやってくる労働者や家族が安心して暮らすことができるようになるばかりか、日本人にとっても住みよい社会をもたらすことになるのです。

現在日本では、4人の現役世代が1人の高齢者を支えていますが、本格的な高齢化社会となる2025年には、1.5人の現役世代が1人の高齢者を支えなければなりません。そこで、労働力を補充するために外国人を受け入れるのではないかという消極的な見方をされることがありますが、日本経団連ではそのようには考えません。確かに高齢化によって、現役世代の負担は増えますが、それは生産性や競争力を高めることで緩和できます。あくまでも多様性のダイナミズムをもとに、強靭な経済社会を構築するという積極的な動機から、多様な能力を持つ外国人を日本へと求めているのです。

したがって日本人は、「“出稼ぎ”外国人を働かせてやっている」というような感覚・態度であってはなりません。そして、一時的な労働を示す「出稼ぎ」という言葉も適切ではありません。実際に、日系人を中心に定住化は進んでいます。

しかし残念ながら、日本政府の外国人の受け入れ政策は、そうした現実を踏まえたものとはなっていません。たとえば日系人について考えてみると、日本政府は「日系人は、日本人の血が流れているから」という考えに基づいてビザを発給し、しっかりした事前準備をしないまま受け入れてしまいました。日系人といっても実際には違う文化、習慣、言語、宗教を持つ外国人です。労働や子どもたちの教育といった面で、さまざまな摩擦が生まれ、基本的人権に関わる深刻な問題も起きてしまいました。年金や医療保険にも制度上の不備があります。日本政府はこの点を反省すべきです。

オーストラリアでは、海外からの移住者に対しては生活をしていくうえで丁寧なレクチャーを行い、住居も提供し、英語ができない者には十分な教育をほどこし、新生活に支障がないように配慮してきたそうです。日本の場合、外国人の受け入れ体制は国レベルではまだまだ改善の余地がありますが、地方自治体やNPOといったレベルにおいては、ここ数年で目覚しい進歩が見られます。しかし、行政にまかせっきりではなく、外国人の側にもやはり自助努力は必要です。日本語の習得は、その第一歩でしょう。日本語が分からなければ日本や日本人を深く理解することはできません。

日本には世界中の料理を提供するレストランがたくさんあります。私たち日本人は、それらを好み、楽しんでいるのですが、とても奇妙なことに、勉強や働きに来ている外国人に対しては、あたたかい眼で接することがでいないままです。したがって、日本人も変わらなければなりません。そして日本に来る外国人の皆さんも、母国のやり方に執着せず、日本から学ぶべきことは学び、多様性を認める“コスモポリタン”になってほしいと思います。

 

井上洋
社団法人 日本経済団体連合会
総務本部副本部長

   


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